当公益財団法人頌古会は、日本国民に侘び、寂を基調とする日本風土文化の実践体得を中心とし、
それらの継承及び伝承に努め、「茶道」を通じてより多くの日本国民が伝え学ぶことで、
文化教養の高揚、啓蒙に寄与することを目標としております。
財団法人頌古会として昭和52年に設立され、平成25年10月に公益財団法人の認定、
令和2年7月には主務官庁を内閣府とする認定を受け、今日に至っております。
多くの国民の方々に公益財団法人頌古会とその事業活動を認知していただくため、
文化財の収集・保管並びに展示、美術講演会、講習会、鑑定会の開催、
美術品の保存、手入れ、修復に関する助言・指導、美術品の評価鑑定を行っております。
これらの事業を通じて美術品の財産価値の認知を促すとともに、
「茶道」を通じた個性豊かな文化、伝統及び技術の継承と伝播に尽くし、
「美術品は財産である」との信念のもと、令和7年度も公益法人としての社会的使命を果たすべく、
運営基盤の強化並びに公益目的事業の達成に向けて、下記の事業を行いましたことをご報告します。
茶道具・古美術品等の資料展示
今年度も当法人展示室及び関連施設において、
基本財産である茶道具、古美術品、美術品の一部について資料展示を行いました。
美術品等を身近に自由に鑑賞していただき、
「知る・学ぶ」ための教育・啓蒙機会を提供することを目的として、
平日の午前10時から午後5時まで無料で開館しました。
ただし、毎週土曜日、日曜日及び祝日は閉館日とし、
作品保護のため、7月から8月及び年末年始の各10日間は休館しました。
茶道具、古美術品、美術品等を通して、その価値への理解を深めていただき、
多くの国民の方々にお越しいただけるよう、展示方法の工夫に努めました。
今期は10月及び1月に展示品の入れ替えを行うとともに、
ホームページ及びSNSにて展示状況等の発信を行い、
来訪者の増加を図るための活動を続けてまいりました。
今年度の来場者数は、前年度から微増となる15名でした。
基本財産である、歴史的・美術的価値を有する貴重な約1,500冊の書籍について、
専門家や美術品所蔵家の調査研究資料として公開することを目指しております。
また、愛好家をはじめとする多くの国民の方々に対しても、
文化教養の高揚、知識の蓄積及び啓蒙に資する資料として、
広く活用していただくことを想定しています。
一方で、これらの書籍は、その性質上、毀損や破損のリスクがあり、
希少性ゆえに盗難等の被害に遭うおそれも高いものです。
そのため、電子化に向けて、効率的かつ正確に、
確実な作業を継続して進めています。
将来的には、電子書籍による献本や会員サイトでの開示等を通じて、
社会に寄与することを期待しております。
当法人は、お茶の精神の普及並びに茶道具をはじめとした美術品への理解に寄与することを目的として、
美術講演会を開催しております。
本年度は、講師及び協力者の方々と打ち合わせを行い、
2月5日に横浜市中区の横浜開港記念会館会議室において開催しました。
しかしながら、下記②の検定試験の告知等により、
講演会開催のお知らせが十分に人々へ届かず、
参加者は9名に留まりました。
また、少人数ではありましたが、当法人役員が講師となり、
前項「公1 ①」に記載した作品入れ替え後の関連事業として、
10月に関連施設で講習会を開催しました。
講習会の参加者は3名でした。
また、1月には展示室において美術品鑑定会を開催し、
5名の方にご参加いただきました。
各参加者からは、茶道具をはじめとした美術品に関する知識や、
お茶の精神についての理解が深まったとの良い評価をいただきました。
今後もホームページ及びSNSを活用し、
より多くの方々にご参加いただけるよう周知に努めてまいります。
また、茶道具、古美術品、美術品を後世へつないでいただける愛好家や蒐集家を、
より一層増やしていくためにも、講演会、講習会、鑑定会を通じて、
美術品の維持管理に関する注意点や方法、評価について、
引き続き継続して伝えていくことを確認しました。
茶道を嗜む方が減少していることも踏まえ、
講演会とあわせて、現代的かつ簡易的な形式から、
茶室において作法を含めて学ぶ本格的な形式まで、
茶道への造詣と興味を深めていただける内容を検討しております。
実施方法を含め、来期以降の開催を目指して準備を進めることとしました。
教育は重要であるとの考えから、専門家、雑誌社の編集者及び賛同者の協力を得て、
当法人が認定する適正な基準を満たした人材の育成と輩出を目指し、
検定試験を実施しました。
対象となる資格は、次の3資格です。
当財団法人の登録商標である上記3資格の名称を、
株式会社日本美術品評価鑑定センターへ貸与し、
同社において検定試験を実施しました。
検定試験は、10月から11月及び2月から3月までの期間に、
年2回実施しました。
開始したばかりの事業であることから、
全受験者数は100名未満に留まり、
現状では持ち出しとなっております。
今後は、より多くの国民の目に留まるよう広報を行い、
門戸を広げる必要があります。
次年度以降は、美術品や文化財を取り扱う学芸員等にも参加いただけるよう働きかけ、
この検定試験を通じて、知識や取扱技術・技能の向上につなげてまいります。
また、多くの財産を守り、後世へ伝えることで社会貢献を図るべく、
今後も継続して実施してまいります。
以前より取り組んでいる、お茶に関する古今の茶器をはじめ、
侘び寂を基調とする道具、漆器並びに日本風土文化を形成する美術品等をテーマとした書籍の
編纂、監修及び制作についても、将来に向けて大変重要な事業であると考えております。
現在、専門家をはじめとする関係者と連絡を取り合いながら準備を進めており、
完成後には献本等を行う予定です。
例年どおり、当法人は財産調査に関連した出張鑑定、評価鑑定並びに
評価鑑定書及び鑑定済証書の発給を行いました。
個人をはじめ、各省庁、公的機関、地方公共団体、法人企業、
その他団体等、多方面からご依頼をいただきました。
今日まで受け継がれてきた美術品を将来へ継承していくため、
大切な文化財や美術品について、その管理・保存方法の助言及び指導を行いました。
また、破損した美術品の修理・修復に対応できる技術者の紹介や斡旋も広く行い、
次の世代へ引き継ぐことを目指しております。
「美術品は大切な財産である」との信念に基づき、
多くの国民の方々にご依頼いただけるよう、今後も継続してまいります。
あわせて、皆様への対応及び処理について、さらなる体制強化を図り、
正しい美術品取引の潜在市場を掘り起こすべく活動を行いました。
鑑定士の技量向上及び育成につながる相談・依頼、
鑑定機会の実績増加は、今後の事業発展につながるものと期待しております。
そのため、今後もさらに力を入れて取り組んでいくことを確認しました。
一方、インターネットやSNS等を通じた鑑定・評価依頼において、
曖昧あるいは誤った評価基準に基づく評価鑑定や情報提供、
依頼者が意図していない助言・指導が行われる事例が散見されます。
その結果、利用者が不利益や著しい損害を被る事案も生じております。
当法人は、不公正、不適切、不公平、不明確かつ無責任な鑑定評価の淘汰に向けて、
鑑定士の技量向上及び育成を図っております。
適正な対価設定を前提として、美術品評価鑑定士制度等を確立し、
公明正大な鑑定評価制度の普及につなげ、
より多くの国民がその恩恵を享受できるよう、
検定事業を通じて尽力しております。
石川県輪島市の伝統工芸蒔絵師・北村雲龍庵氏のご協力を得て、
日本の風土文化の維持、保存及び伝承と、
それを支える伝統や技術の継承・伝播を担う技術者、職人への教育及び育成を目的として、
香道具一式制作事業に着手しました。
本事業には、この趣旨に賛同していただいた方からの寄附金を活用しております。
事業期間は2年から3年にわたる長期的なものであり、
当事業年度においては着手金の支出を行いました。
今後、北村雲龍庵氏のご指導をいただきながら、
長期にわたる制作工程を通して、漆芸の伝統や文化を受け継ぐ志を持った者たちが、
互いに協力し、意見を交わしながら制作を進めます。
これにより、伝統技術の継承及び革新を目指します。
また、作品が完成した際には広く展示する予定です。
この活動は、能登半島地震からの復興を後援し、
支援する取り組みにもなるものと確信しております。
当法人は、本事業を通じて継続的な助言、進言、教示及び指導を行い、
制作工程を含め、作品を通した紹介及び広報活動を行っております。
さらに、工芸の継承者を育成するための環境の創出・整備を進めるとともに、
優秀な人材を新たに見いだすための調査及び検証も行っております。
公益財団法人 頌古会
〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町25-4 ハリレラハウス201号室