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活動報告

令和6年度事業報告書(令和7年6月11日)

当公益財団法人頌古会は日本国民に侘び、寂を基調とする日本風土文化の実践体得とそれらの継承及び伝承に努め「茶道」を通じてより多くの日本国民が伝え学ぶことで文化教養の高揚、啓蒙に寄与することを目標に財団法人頌古会として設立、平成25年10月に公益財団法人の認定、令和2年7月に主務官庁を内閣府とする認定をそれぞれ受けております。今期も多くの国民、そして社会に尽くすための事業活動を行いました。

令和6年度も美術誌への定期的な広告掲載、ホームページの内容の充実に力を入れ多くの国民の方々に公益財団法人頌古会とその事業活動の認知に努め、日本国民及び日本の社会に貢献せんと活動を行いました。

文化財の収集・保管並びに展示の活動、美術講演会、講習会、鑑定会の開催を行い、当法人は「美術品は財産である」との信念に基づき美術品の保存、手入れ、修復及び評価鑑定を行うことにより美術品の財産価値の認知と「茶道」を通じて個性豊かな文化、伝統や技術の継承と伝播に尽くし、公益法人としての社会的な使命を果すべく運営基盤の強化並びに公益目的事業達成の為に下記事業を行いましたことをご報告します。

公1 収集・保管及び展示

①記念展示品等の展示(茶道具 古美術品等の資料展示)

  • 今年度も当法人展示室、関連施設において無料にて平日午前10時から午後5時を開館時間(但し毎土日祝日は閉館日、作品保護のために7~8月、年末年始の各10日間は休館)とし、基本財産の茶道具及び古美術品、美術品の一部について資料展示活動を行いました。これにより美術品等を身近に自由に鑑賞して頂き、知る・学ぶ、教育・啓蒙活動の機会を提供しております。しかし、今年度の来場者は13名にとどまりました。

  • 茶道具、古美術品、美術品等を通してその価値の理解のために多くの国民の方々にお越し頂ける様に、またお越しの皆様方に楽しみ喜んで頂ける様に、定期的な展示品の入れ替え、展示方法の工夫に努めるとともにホームページ・SNSにて展示状況等の発信をより行い来訪者の増加を図れるよう惜しまず続けて活動を行ってまいりました。

②蔵書の公開

  • 基本財産である1,500冊の書籍は貴重な歴史的、美術的価値を有するものでその性質上毀損、破損のリスクや希少故の盗難等に合う恐れの高いものですので継続して効率的に正確にかつ確実に電子化をするべく多角的に意見を聞きながら準備を行っています。完成しましたらば献本等を行い専門家や美術品所蔵家の調査研究資料として、また愛好家、多くの国民の方々には文化教養の高揚、知識の蓄積と啓蒙に資するべく、さらに美術品を蒐集頂き後世に永く残し伝えて頂く一助とし、社会に寄与することも期待しているところです。

公2 体験活動及び講演会の開催

①文化講演会行事等

  • 当法人の目的の一つである我が国の風土文化を実践体得して頂く為の活動の一環として、お茶の精神の普及並びに茶道具をはじめとした美術品に関しての理解に寄与する目的で美術講演会を行うこととしています。本年度も開催に向けて講師の先生、協力者の方々とも打合せを密にしておりましたが、下記②の検定試験及び教科書作成との兼合いから調整がつかず講演会の開催は見送らざるをえませんでした。その代わりに、少人数ではありましたが当法人役員が講師となって関連施設での講習会を6月に、展示室での美術品鑑定会を1月にそれぞれ開催しました。参加者から茶道具をはじめとした美術品に関しての知識とお茶の精神についての理解が深まったと良い評価を頂きました。その他にも、講演会をはじめ講習会、鑑定会において美術品の維持管理の注意点や方法、評価について引続き継続していけるよう準備をしております。今後もホームページ、SNSを利用して多くの人々にご参加頂けるように告知活動を行い、後世に繋いで頂ける茶道具、古美術品、美術品の愛好家、蒐集家をより一層増やすことを確認しました。

  • 茶道への造詣と興味を深めて頂くこと念頭に置いて、石川県輪島市において伝統的蒔絵作家の北村雲龍庵氏の協力を得て工房内に設えられている茶室にてのお茶会は先の地震により建物の修繕が進まず予定をたてられる状況ではないので今期は行わず、来期以降の開催を目指して準備を進めることとしました。

②書籍の編纂、監修、制作及び人材の育成、教育

  • 当法人は我が国の個性豊かな文化と伝統さらに技術の継承、伝播に資する為にも教育は重要であるとの考えから専門家、雑誌社の編集者、賛同者の協力を得て念願であった、当法人が認定する適正な基準を満たした「美術品評価鑑定士」「美術品鑑定士」「美術鑑定士」の育成、輩出を目指した検定試験のための茶道具、古美術品、美術品に関する独自教科書の完成が近づいてまいりました。来期にはこれを教材としてその学習度合並びに理解・習熟程度を図るための検定試験を行う準備も進めており、正しい鑑定制度の普及に寄与致します。また、美術品・文化財を取扱う学芸員等の参加を促し、知識や取扱技術・技能の向上を働き掛け、多くの国民の目に留まるように広報を行い、門戸を広げることで大いに好奇心を満たし学んで頂き、多くの財産を守り伝えることで社会貢献をも図るべく進行しています。

  • また、将来に向け大変に重要であると考察しており、以前より取組んでいますお茶に関する古今の茶器を初め、侘び寂を基調とする道具、漆器並びに日本風土文化を形成する美術品等をテーマとする書籍の編纂、監修及び制作につきましても専門家他、関係者と連絡を取合い着々とその準備を進めております。

公3 助言・相談及び鑑定

①美術品評価鑑定、相談、指導

  • 今年度も継続して美術雑誌への広告の掲載及びホームページの情報の充実により個人をはじめ各省庁、公的機関、地方公共団体、法人企業やその他団体等多方面よりご連絡を頂きそのご依頼にお応えしました。財産調査に関連した出張鑑定、評価鑑定並びに評価鑑定書、鑑定済証書の発給を数多く行っており、繰り返しご依頼をされる方もおられ、ご満足を頂き良い評価を得ております。

  • 相談、依頼、問合せの実績は次のとおりです。
    鑑定相談:100件(電話:77件、メール:21件、ファックス:2件)うち、
    鑑定依頼:98件(電話:77件、メール:21件)うち、
    簡易鑑定:28件、出張簡易鑑定:1件。
    評価鑑定書発行:15件、鑑定済証書発行:80点。

    他事業に関する問い合わせも併せて受けており、その実績は次のとおりです。
    教科書、検定に関する問合せ:7件、パンフレット請求依頼:7件。
    相談・依頼件数の増加は鑑定機会の増加であり、鑑定士の技量向上、育成にもつながると期待しています。

  • 「美術品は大切な財産である」との信念のもと今日まで受継がれている美術品を将来に継承していくことも大事な活動です。そのために、大切な文化財や美術品についてその管理保存方法の助言、指導はもとより破損美術品の修理・修復の為の技術者の紹介、斡旋を広く行い、次の人々へ引継ぐことを目指して活動しています。しかし、残念ながら今年度は修理の相談・依頼と取扱指導・相談はともに0件でした。
    今後も活動を引続き行い多くの国民の方々にご依頼頂ける様に、また皆様への対応、処理についてさらなる体制の強化を図り、正しい美術品取引の潜在市場を掘り起こすべく活動を行います。

  • 巷でのインターネットオークション品などに関する鑑定・評価依頼についての曖昧な、或いは誤った評価基準による評価鑑定や情報提供、意図していない助言・指導を行う等々によって不利益や著しい損害を被らされている利用者の事案を散見します。当法人の果たす役割は、不公正で不適切、不公平で不明確で無責任な鑑定評価の淘汰に向けて、鑑定士の技量向上、育成です。対価の適正設定を前提として、美術品評価鑑定士制度等の確立を行い、公明正大な鑑定評価制度の普及につなげ、さらに多くの国民がその恩恵を享受できるように尽力をしてまいりました。

③伝統工芸師育成の為の協力等

  • 能登半島地震により石川県輪島市は甚大な被害を被り漆芸の伝統や文化の危機が危惧されるところです。本年度も前年度同様に輪島の漆芸研究所の卒業生で伝統工芸蒔絵師 北村雲龍庵氏の下に漆芸の伝統や文化を受け継ぐべく志をもって集いし者達への学びのサポート活動をしました。仮の移転先の金沢市内作業場まで赴いて継続的な助言、進言、教示、指導を行い、作品をとおして多くのことの紹介、宣伝を行い工芸の承継者を育成する環境の創出・整備活動を行いました。また、他分野の優秀な人材を新たに見出すために調査、検証を行う準備をしています。

  • 来年度には当法人の趣旨および事業に対し賛同を頂いた方から、日本の風土文化の維持、保存と伝承伝達のための後進育成に役立てて欲しいとご寄附のお約束を頂戴しました。これを基に、北村雲龍庵氏にご指導頂き一定期間を費やしながら、多くの技術者(職人)が互いに協力し、意見を交わして新たな作品を制作することで日本の文化とこれを支える伝統や技術の承継と伝播に寄与します。さらにこの活動は能登半島地震からの復興の後援、手助けとなるものと確信しています。

公益財団法人 頌古会


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